デザインの記憶 [雑貨・アート・デザイン]
引き出しの掃除をしようと開けてみたら
出てきました、写植の本。
以前、お友達が
デザインのアナログ時代の話をしていて
こういうの、なつかしいなあーと感じていたところです。
その昔・・・商品企画として新卒で入った
上場企業のメーカー。
販路によりチームが3つに分かれていたのですが
まず配属されたのが、特販で
量販店のPB商品や文具、雑貨、子供服メーカーなどの
別注商品と付随する販促物を作るチームです。
印刷物を工場で製品にするためには
資材とデザイン・版下、製品の見積もりなどが必要なわけで
企画と言いながらも
版下作業が多かったですね。
版下とは、製版屋さんに渡す
印刷の元になる原画のようなものですが
アナログ時代のことなので・・・・
実寸の方眼の厚紙に、ロットリングでトンボという枠を引き
デザインに必要な写真やイラスト、文字をモノクロ写真にして
レイアウトしてペーパーセメントで貼り
上にトレーシングペーパーをかけて、色の%の指示を書き込むという
できあがりは、できるまでわからないという
今考えると神業的な作業です。
汚れを消すのに、紙を刃物で削ったり
印画紙の一部をくり抜いて薄皮だけはがし
ピンセットで移動させて修正するとか
文字の間隔を調節するのに、針先で文字のアンダーラインをつけておき
切って詰めたり離したり
ある意味クリエイティブな作業の数々で楽しかったものです。
その文字部分を作成するのが「写植」、写真植字なのですが
写植屋さんに外注せずに、社員は自分で作業したりしてました。
文字が表裏反転した大きなガラスの文字盤を、上下左右に手で動かし
写植機のカメラの位置まで、打ちたい文字を移動させ
一文字一文字ガチャッとシャッターを切るように、印画紙に印字したものを
暗室で現像して乾かし
切り抜いて、版下用紙に貼る・・という
こうして書いてるだけでも、今ありえないような原始的な作業。
ロゴなどを作る時は
「モンセン」という,分厚い欧文書体見本の本から
好きな書体をコピーして、切って並べ替え
ロットリングなどでラインを修正して
デザインスコープで印画紙に焼き付け現像したものを使ってました。
今やパソコンで、あっけなくできるようになりましたね
紙も、ロットリングも、ペーパーセメントも、ソルベントも,ラバークリーナーも
カッティングシートも、カッターも、定規も、セロテープも
色鉛筆も、マーカーも、書体の本も・・・な~んにも楽しい道具は必要ないわけで
なんか寂しいな~と思うと同時に
デザインの楽しさって
今の時代、なんだろう?と
ふと感じました。
2011-05-06 01:19
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コメント(2)
この写植の見本帳懐かしい〜!私も持ってました(笑)
本当あの頃の作業って地味でしたけど楽しかったですよね
写植外注してた私は写植屋さんから届くまでの「写植待ち」という時間を
資料を探してるふりで雑誌を読んでたりなんかできたりして…
色指定も赤ペン持って必死で必死で
色校が上がってくるまでのドキドキ感がたまりませんでしたよね〜
今は便利になったけど、簡単に何でも出来すぎて
何だかちょっと寂しい感がする時がしばしばです
by nonki-taisyo (2011-05-08 06:59)
>nonki-taisyoさん
色校までドキドキですよねー。
いまはパソコンや出力で、その場で確認しながら作成できるわけで
でも、色の再現性の基準が曖昧になったような・・。
トレペのかけ方さえも、「美」みたいなものを感じられたけど
今は、美しくデータを作るっていうのが、あるのでしょうか?
とにかく、早くできるようになりました・・・。
by honoka (2011-05-08 09:01)